進化中の分線金物

(2) いろいろあったね!ブンカナ秘話

記事提供:東高通信工業㈱
2013.9.12
 前回第1回掲載ではブンカナの変遷をご紹介いたしましたが、今回は半世紀近くの間改良を続けてきた中で何点かの秘話を抜粋しご紹介致します。
 
●支持板をダイカスト製にして機能も充実
(平成元年1月 分線用金物 改良)
 異形圧延鋼板の支持板から、寸法の安定性と生産性のアップでコストダウンを図るため支持板を亜鉛ダイカストとしました。
 当時、異形圧延鋼板は5.5Mの長さがあり、又重量もあり扱いが非常に困難でした。 プレス機に異形圧延鋼板を1本ずつ差し込み切断し、切断の最後のところは破棄してムダもあり、鋼板のサビ防止の黒革がそこら中に飛び散るため、マスクをして集塵機を使い処理をしておりました。
 又、機能面でナットを締め付ける際に面倒を見ながら締め付けないとフックが回ってしまう事もあり、そこで登場したのがダイカスト製の支持板を使用したブンカナです。
 ダイカストの成型品は厚さ・穴明・など形状が容易に設計でき、ダイカスト成形機により、一度に同じものが多数出来ます。機能的にも丸穴から四角穴に形状変更し、ナット締め付け時にフックの回りを防ぐ事が出来ました。更に引留具のリングが外れにくくするためダイカスト製支持板の形状変更が貢献しました。
 

 
●ケーブルの種類が増えた!! 細径新ケーブル用誕生!
(平成18年10月 分線用金物「B」)
 細径新ケーブル取り付けへの対応により溝形状変更。支持板形状変更、1溝形状とし誤使用の無いようにしました。
 ケーブルの種類が増え、ケーブルを把持する径も最小3.0ミリから10.5ミリと把持許容範囲も多くなり、設計も難しい問題を抱えました。導入までのスケジュールもあまりなく、コストもそのままでの設計となり、試行錯誤の上出来上がったのが「B」タイプです。
 今までは把持部は線径の細いケーブル支持線と線径の太いケーブル支持線を把持する2箇所の把持部がありましたが、ケーブル支持線の種類が増えた事もあり、間違いが無いように把持部を1箇所としました。 設計上では溝の深さ・広さなどは計算出来ますが、実際にケーブル支持線を挟んでみると把持力が出ません。そこで考えた末、滑り止めのために把持溝に細かい(アヤメ目・平目・斜め目)の線を付けて検証をしました。
 その結果、平目の線溝形状が、1番効力があり採用としました。しかし細径のケーブル支持線では樹脂製の被覆が薄く支持板を締め付けるほどに被覆が破けてしまい、滑り留めの線溝形状を設定するまで結構な時間を費やしました。
 
  
   
 
●より現場環境に配慮した構造変更へ
(平成24年4月 分線用金物「C」)
 「B」タイプは平成18年より採用となり納入をさせて頂きました。その間締め付け時にブンカナが回ってしまう、又外れてしまうとの情報を伺い、今までのノウハウを活かし、より現場環境に配慮しダイカスト製支持板設計・滑り留め溝などを再考しました。その結果、フェイルセーフ機能が働くよう把持部のR部を少し深くし、ツリ線・支持線への取付けの作業性と取付け後の安全性向上を図った「がっちりくわえて離さない」タイプのブンカナとなり、平成24年より分線用金物「C」として導入となりました。
 

  次回掲載は、「サビよ、さよなら究極のブンカナ」をご紹介予定です。

 

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