めっきのあれこれ

(1) 錆との戦い~めっきパワーを活かそう~

記事提供:イワブチ㈱
2013.6.28
 ●めっきって何?
 めっきとは錆を防いだり、見栄えを良くしたりする為に、金属などの表面に、別の金属の薄い膜を作ることです。めっきをする方法には溶液に品物を入れ、電流を流すことでめっきをする「電気めっき法」や、溶かした金属中に品物を入れてめっきをする「溶融めっき法」、その他に「化学めっき法」や「真空めっき法」など様々な種類があります。

  このような方法で施されためっき製品は、身近な製品にも多く使われています。例えば以下の例があります。

①奈良の大仏 :奈良の大仏は建立当初、全身に金めっきが施されていました。液体の水銀に金を入れると金が溶けて液体状になります。それを青銅製の仏像に塗った後、加熱し水銀を蒸発させることによって金で表面を覆いました。大仏のめっきは約5年もかけて施されました。
②缶詰の缶  :食品などの缶には鉄が錆びることを防ぐため、すずめっきされた鋼板が使用されています。すずは、人体に対して毒性が少ないため、古くから使われています。また、すずめっき鋼板はブリキと呼ばれています。  
③水道の蛇口、車のエンブレム :水道の蛇口は防食や装飾を目的として銅合金に、また、車のエンブレムには装飾を目的としてプラスチックにクロムめっきが施されています。銀色で光沢のある表面がクロムめっきの特徴です。
④鉄塔、車のボディ :鉄塔は長期間、素材の鉄鋼材料の錆を防ぐため、溶融亜鉛めっきが施されています。車のボディにも錆の発生を防ぐため、溶融亜鉛めっきされた鋼板に塗装を施して使用されています。
 
 
●めっき?メッキ?鍍金?
 めっきは当初、金を塗ることから「塗金(ときん)」と呼ばれていましたが、奈良の大仏のように、水銀に金を溶かしたものを利用してめっきをしていたため、金が溶けて無くなる様子から、「滅金(めっきん)」と呼ばれるようになりました。その後、その言葉が「めっき」に変化したといわれています。
 めっきという言葉は、ひらがなやカタカナ、漢字と様々な文字で表現されていますが、外来語ではなく、漢字では「鍍金」と表記されます。しかし、「鍍」は常用漢字ではないため、JISでは「めっき」とひらがなで表されています。
 
●めっきはいつ頃からあるの?
 世界で初めてのめっきは、一説では紀元前1500年頃の鉄器へのすずめっきとされています。また、日本で発掘された最も古いめっき製品は古墳時代のものとされています。 
 
●装柱金物で使用される材料とめっきの種類は?
 鉄鋼やコンクリート、石材、アルミニウム、プラスチックなど、様々な材料が様々な用途で使用されていますが、これらの材料の中でも、鉄鋼材料はその優れた特徴から、歴史上、文明発展の重要な鍵となっただけでなく、現在でも数多くの構造物などに使用されています。
 鉄鋼材料は、入手性が良く(地球上で一番量が多い元素はFe!)、安価で、加工性・強度に優れるといった特徴を持っているため、装柱金物では使用されています。ただし、この鉄鋼材料も長期間屋外で使用すると錆(腐食)が進行して減肉し、強度が低下してしまう欠点を持っています。
 対策方法として、鉄鋼材料そのものを錆びにくくしたステンレスの使用や、塗装やめっきによって錆を防ぐ方法などがありますが、それらの中でも代表的な防錆処理方法である溶融亜鉛めっきが装柱金物に用いられています。

  次回はその溶融亜鉛めっきについてご紹介します。

 なお、めっきは、昔塗っていたようですね。塗る手法との違いは、勉強中です。

 

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